Indigo

獄の棘    / 大門剛明

新米刑務官と刑務所内でのギャンブルの話。


窪田君がドラマをすると言うことで、原作を読まないと!と思い買いました。

正直こういった刑事物のミステリはあまり読まないんですけど、好きな俳優さんのためにまた新しい興味の扉を開きました。


そういえば探偵ものの小説はよく見るけれど、刑務官の小説って初めて見るなという感想が一番でした。

そういう中で読んだこの小説はなかなかに現代の数字至上的な考え方を否定するでもなく、昔っぽい情にものを言わせた上下関係を推奨するでもなく、人間関係を表現しているなと言う感じです。

その二つの狭間にいる主人公は、挟まれることでどちらが正しいのかを常に考えていますが、結局はどちらに偏ることは出来なかったように、両方兼ね備えることが一番ですよねって事です。


この小説は、裏がある、と言う点で面白かったです。

一見不謹慎なギャンブルで盛り上がるネタの塊のベテラン刑務官の悪事を暴くのかと思いきや、そのベテラン刑務官の収容者の心を読み解く姿に圧倒され、悪事を働いているにも関わらずそこに”悪”が感じとれないことがわかります。

信用してしまったんです。

人間やはり情を捨てることは出来ません。


しかしエリート総括も間違ってはいないのです。むしろ鋭い指摘とその頭脳で、直進的に事件の解決に進む姿は、冷たさが残るも間違っていない。

だからこちらも捨てきれない。

間違っていないから。


主人公の葛藤が目に見えて面白いところでした。


またそれぞれの事件で面白いところは、なにかしら情が働くような犯人や容疑者の動機があるところです。やはり動機たり得るものは人の感情しかないのだと思いました。


いやー、最初は面白いと思えないかもと思っていた自分はあほでした。

自分の好みは自分が一番よく分かっていました。

買って正解でしたね。

好きです。


面白かったです。

刑事物のミステリにも手を出してみようかなと思います。



Sai

knowing is seeing.

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